1.定義
「未病ケア無形文化遺産」とは、伝統ある知恵と技法でもって織りなす無形の食文化財の中で健康維持、未病ケアに寄与するエビデンスが明瞭となって来たものを評価し無形文化遺産として表彰するものである。これには、食文化・発酵技術・生活習慣・地域に根ざした健康法などが含まれる。
本制度は、従来のユネスコ無形文化遺産や日本の重要無形民俗文化財の概念を参考にしつつ、「健康寿命の延伸」と「伝統文化の継承」を一体化させた、日本未病総合研究所発の独自認定制度である。
2.背景
- 日本は世界有数の長寿国であるが、高齢化と生活習慣病の増加により、医療費・介護費の増大が社会課題となっている。
- 「現代未病」は健康と病気は繋がっているとする概念の基、その間の状態を未病とし科学的検査でもって区分する身体ゾーンを言う。自分でケア出来る場の創出でもある。
- 一方、地域ごとに伝統的な製造による食材利用法が存在するが、これらは急速な生活様式の変化により消滅の危機に瀕している。
これらの背景から、伝統的文化価値と健康的価値を融合し人類の資産として再認識を行うのが「未病ケア無形文化遺産」認定制度である。
3.意義
(1) 文化的意義
- 地域固有の歴史・気候・風土に根ざした健康文化を後世に伝える。
- 職人技術や製造方法を記録・継承し、地域アイデンティティを保護する。
(2) 健康・社会的意義
- 科学的根拠に基づく健康効果を評価し、国民の健康意識向上に寄与する。
- 医療費抑制や健康寿命延伸など、持続可能な社会保障制度の実現に資する。
(3) 経済・地域振興意義
- 認定を通じて地域産品のブランド力を向上させ、観光・輸出促進につなげる。
- 健康志向の国内外市場に向けた発信力を高める。
(4) 国際的意義
- 「健康」と「文化」を融合させた日本独自の無形文化遺産モデルとして、海外への発信と国際協力の促進が可能となる。
4.対象例 (2025年8月現在)
- 黒酢の伝統製法(庄分酢など)
- 海塩の平釜製造と養生文化(丹後絹塩など)
- 地域特有の薬膳食・発酵食品
- 季節行事と結びついた健康法
5.まとめ
未病ケア無形文化遺産は、単なる伝統文化の保護ではなく、「健康と文化の両輪で未来社会を支える仕組み」である。その登録は、地域の誇りを高めるとともに、国民の健康増進と持続可能な社会の構築に寄与するものである。
(日本未病総合研究所)
未病ケア無形文化遺産 審査プロセス
未病ケア無形文化遺産の承認に至るまでの審査手順を示す。本プロセスは、応募 者の公平性と審査の透明性を確保するために、一次審査・公開コンテスト・第二次審 査の三段階で構成される。
1.応募書類提出(必要事項記入)
申請者は、未病総合研究所が定める応募様式に従い、以下の必要事項を記入し提 出すること。
・歴史的背景
・製法および技術的特徴
・健康・未病ケアへの寄与内容
・継承活動と地域参加の状況
・将来性および SDGs への貢献性
2.一次審査(未病総研による書類審査)
未病総研は、提出された応募書類に基づき、応募要件の適合性および記載内容の 妥当性を審査する。 一次審査を通過した案件は、公開コンテストへの参加資格を得る。
3.公開コンテスト形式発表(全国オンライン)
一次審査を通過した候補者は、全国規模でオンライン配信される「公開コンテスト」に おいて、自らの活動・文化的価値・未病ケアへの貢献を約20分間発表する。発表は リアルタイム配信とし、未病サポーターはじめ全国の一般参加者が視聴可能とする。
4.オンライン参加者による質疑応答と評価
公開コンテスト発表後、有識者並びに参加未病サポーターから質疑応答が行われ る。終了後、オンライン参加者は候補ごとに評価を行い、「いいね」「ざんねん」を送信 することができる。候補が過半数の「いいね」を獲得した場合、第二次審査に進む。
5.第二次審査(有識者による多数決)
第二次審査は、食文化、栄養学、地域活性化、文化政策などの分野における有識者 によって構成される審査委員会が実施する。有識者は以下の基準に基づき厳粛な審 査を行い、民主的な多数決によって承認可否を決定する。
・文化的価値ならびに SDGs 性
・未病ケアとしての科学的・社会的根拠
・継承活動の持続可能性
・公開コンテストでの支持状況
6.承認(未病ケア無形文化遺産登録)
第二次審査で承認された案件は、正式に未病ケア無形文化遺産として登録され、所 定の登録料が振り込まれた後、認定証が授与される。登録後は、継承・普及活動の 状況を定期的に報告することが求められる。
日本未病総合研究所 規約 2025
未病ケア無形文化遺産、認定審査フローチャート
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(有識者並びに参加者からの質疑応答)
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8月3日(日)に「未病ケア無形文化遺産」公開コンテストがオンラインで開催されました。
最初に未病総研福生吉裕代表理事より、開催の趣旨説明がありました。
全国各地で受け継がれている伝統的な食文化の中で、健康に寄与する食品を広く認知、普及させることを目的として日本で初めて開催されることが報告されました。
最初の発表は、「丹後の絹塩の製塩法」と塩で健康になる生活「ソル活」の実践法というテーマで、丹後絹塩株式会社小林弘幸社長の発表がありました。
丹後の絹塩は、丹後の美しい日本海の海水を独自の平釜製法で、手塩をかけて作られる「職人の手仕事の結晶」であること、塩の力で健康になる生活「ソル活」で減塩でなく、適塩による現代人の生活習慣を変えていくことを目指していると説明がありました。
現代の「未病ケア」への活用により、ミネラルバランス補完、電解質補給、食の質の向上を目指していくということです。
その後の質疑応答で、コメンテーターの日本塩ソムリエ協会名誉会長の中川功氏より、輸入の塩に頼っている日本で、伝統文化として残すことが大切であるとコメントがありました。
また手代木秀一先生からは、マイクロプラスティック等の不純物の除去についての質問があり、小林社長からは半期ごとの公的機関での水質検査を実施していることが報告されました。
また川嶋みどり先生からは、塩は単なる調味料ではなく、生命の維持に欠かせないものであり、また食べることだけでなく、保存に重要な役割を果たすことを訴求すべきとコメントがありました。
2題目の発表は、株式会社庄分酢高橋一精会長から「日本古来の酢造りと酢の力」というテーマでの発表でした。
庄分酢は1711年以来300年15代にわたり、一子相伝の静置発酵法で60~100日かけてじっくり発酵、熟成させて酢を作り続けていること、また陶器製の大甕の中で有機玄米(熊本産)、麴米、水のみを原料に伝統的な手作りの製法で酢造りを続けていると説明がありました。
そして酢の機能性として、
1.血液の低下
2.食後血糖値の上昇緩和
3.筋肉の疲労回復
4.食欲増進
5.防腐効果
6.減塩効果
が認められていると説明がありました。
続いてコメンテーターの手代木先生からは、毎日酢を飲むようにしており、先日医師から血圧、血糖値に良いから飲み続けるように言われたと話がありました。
川嶋みどり先生からは、食欲を促進する効果があり「未病ケア」にとても良い点、厳選された材料を使っていることはスゴイとお話がありました。
ビネガー発酵料理研究家の岩間明子先生からは、酢酸菌は受け継いでいかなければならない菌、江戸時代から受け継いでいる「蔵付き菌」など文化遺産として伝統を継続、守ってほしいというお話がありました。
今回発表された2商品は、市場に出回っている大手メーカーの商品と違い、地道にじっくり昔ながらに作り続けることに価値を持っていることで、コメンテーターの方達の評価だけでなく、ズーム参加者の評価でも「いいね」の評価が多く寄せられ、今回の2商品の伝統食品の健康への良い影響が改めて認められた審査会でした。
公開テスト終了後審査委員会が開かれ、コメンテーターのご意見や参加者の評決などをもとに審議し、2商品が「未病ケア無形文化遺産」に認定されました。
未病総合研究所は、これからも伝統的製法で作られる「未病ケア食品」を「未病ケア無形文化遺産」として認定し、告知し、広報してまいります。
報告:早乙女和雄
認定商品
認定年月:2025年8月(「未病ケア無形文化遺産」として認定)
演題名:日本古来の酢作りと酢の力
企業名:株式会社 庄分酢
製品の特長及び推薦理由
庄分酢は1711年以来300年15代に亘り、一子相伝の静置発酵法により60~100日かけてじっくり発酵、熟成させて作り続けています。
また、陶器製の大窯の中で、有機玄米(熊本産)、麴米、水のみを原料に、伝統的な手作りの製法で酢造りを続けています。
酢の機能性として、①食後血糖値の上昇緩和 ②筋肉の疲労回復 ③食欲増進 ④防腐効果 ⑤減塩効果 等が認めらており、「未病ケア」に役立つものとして期待されます。
認定年月:2025年8月(「未病ケア無形文化遺産」として認定)
演題名:ソル活(塩と水だけで出来る簡単健康習慣)
企業名:丹後絹塩株式会社
製品の特長及び推薦理由
丹後の絹塩は、丹後の美しい日本海の海水を独自の平釜製法で手塩をかけて作られる「職人の手仕事の結晶」です。不要なものを丹念に取り除いて、純粋な塩造りをしています。
塩の力で健康になる生活を「ソル活」と呼び、減塩ではなく、適塩より現代人の生活習慣を変えていくことを目指しています。
現代の「未病ケア」への活用により、ミネラルバランス補完、電解質補給、食の質の向上を訴求しています。